久しぶりの投稿です。
自らの装いやコーデイネート中心に綴ってきた「ルーチェの着物ごよみ」でしたが、今年で11年目。
これまでに着物を通して沢山の出会いがあり、別れもあり、笑いあり、涙ありの思い出深い着物とのかかわりがありました。
これからは、そんなエピソードも添えながら、時には思いっきり着物三昧をつづる「着物ごよみ」といたしましょう。
よろしければお付き合いください。
今月は仲良しだったNさんのお話です。
ルーチェのご贔屓さん
それはたまたま偶然の事でした。
今から10年ほど前、ルーチェがHPを立ち上げ浴衣の季節を迎えようとしていたころの話です。
縁あって、近所に住むNさん(仮に)とは、嫁いだ当初から同年代ということもあり(若干ルーチェが年上)、会えばよく会話をしたり、二人で温泉や旅行に行ったりする間柄。
着物の話はほとんどというくらいしなかったのだけど、ある日「娘に浴衣を着せたよ。帯結びが難しい」とNさんから画像が送られてきました。
私も丁度HP用にと撮影した浴衣姿のモデルさんの画像があったので、「こんな帯結びしたよ」と送り返しました。
すると、Nさんから「感動の浴衣姿」とのお褒めの言葉をいただき、そこから二人で着物の話を少しづつするようになり、今後の構想を語ったり、ルーチェのお着楽襦袢のモニターにも参加してもらったりとNさんにとって着物が身近なものになっていきました。
20歳の前撮りロケを試してみようと、告げるとNさんは従妹のお嬢さんを20歳の前撮りにと紹介してくれたり、同じ年代のママ友に宣伝してくれたりと、沢山のお客さんをルーチェにもたらしてくれました。
そのうち、Nさん自らも実母様の思い出の着物を着て撮影したり、お嬢さんの振袖撮影やら、息子さんとの和服でのツーショット。
お宮参りのロケ撮影、Nさんのご実家の家族撮影など、古民家はいつも笑いの絶えないお客様の居場所に作り上げた立役者のNさん。
応援団長は不治の病に倒れる
世界を恐怖に巻き込み思考停止状態にしたパンデミック「コロナ」
Nさんの我が家への足が遠のき、きっとお孫さんの誕生で忙しいのだろうと思っていた矢先、Nさんは2度もコロナにかかり、
その後遺症は長引き仕事を休職するまでになり、常に身体がだるくなり、体重も減る一方で、Nさんは入退院をひっそりと繰り返していたのです。
治ったら温泉に行こう。が二人の口癖だったのに。
棺のお供に
闘病の甲斐なくNさんは違う病気が見つかり、この世を去りました。
悔しいのと寂しさで、身の置き所のない時間が過ぎ、それはきっとNさんも同じか、それ以上ではなかったのではと悔やまれて仕方ありません。
お通夜に参列すると、セレモニーホールの玄関先には、楽しかったNさんとそのご家族の写真がありました。
そしてルーチェの古民家で撮影した画像もたくさん飾られ、在りし日の佳き思い出がたくさん蘇り、
思い出の中心にルーチェの撮影があったことに深く感謝し、涙が止まりませんでした。
葬儀が終わると、飾られた写真は棺に納められ、冥土の土産に。
人は、自らが被写体になる事が少なく、自分の画像がめっぽう少ない気がしてなりません。
自分のために写真を撮りませんか。
愛する人に思い出を残す事にもう少し勇気を持ちませんか。
ルーチェがアナタの素敵な思いで作りのお手伝いをします。
Nさん ルーチェの応援団長で居てくれて今までありがとう。
いつかあちらで会いましょうね。
それまでさよなら。