今月13日は、ルーチェの着物着付けのサイトを立ち上げた創立記念日です。
おかげさまで7周年を迎え、8周年目に入ります。
多くの着物ファンの皆様に支えられ、この日を迎えましたことに深く感謝します。
霜月になると毎年思い出すのは、息子のお宮参り。
田舎は晩秋から冬の気配。
少し小雪のちらつく中、故郷の八幡大社の境内では、恒例の菊祭りが開催され、
大輪の菊の香しい香りと凛とした佇まいを観ながらも、、出産後初めて着物で出かけたあの日のこと。
息子が風邪を引きはしないか、寒くはないかあれこれ気にかけ、
新米ママとして、自分のために着る着物から「お付き添い」の装いデビューです。
由緒ある着物と帯
独身時代に亡き母の懇意にしていた呉服屋さんの勧めで買い求めた
十六菊の無地の着物と袋帯。
「たいそう由緒のある着物と帯」の説明も話半分。
染め色と白生地の風合いに惚れ込んで誂えたものだから、
後になって「六礼」や「十六菊」の謂れを知れば知るほど気後れする衣装となり、
言い訳の立つようにと「お付き添い専門の無地」の役割に定め、装うことにしました。
七五三やらお稚児さんなど事あるごとに息子の行事には大活躍。
本当によく袖を通しました。
その後「お付き添い」することも徐々になくなり、
十六菊の無地着物は箪笥の奥で静かに出番を待つ着物と変わり果て、長らくその存在も薄れていました。
コロナ禍で箪笥の整理
たっぷりの時間と引きこもりの日々が続き、今まで後回しにしていた箪笥の整理に重い腰を上げると、
初ボーナスで誂えた着物や、茶道に夢中な頃に締めた袋帯などの良き思い出が蘇りました。
置き去りにしていた大切な相棒との再会です。
十六菊の着物もその一枚です。
自分のために着る着物
箪笥の整理をしてからというもの、昔の着物ばかりに年甲斐も無く袖を通しています。
当初海老茶色だったこの無地も経年の焼けで色がくすみ、以前より着やすくなった気がします。
思い出を背負いながら、新たなメモリーを刻む自分のための着物は寿命が長い。
縁起の良い8周年の幕開けです。
おともは
・十六菊紋の海老茶無地着物
・十六菊紋の袋帯
・うっすら小豆色の縞模様帯揚げ
・道明冠帯締め 練色
・ルーチェオリジナルのお着楽襦袢とおこしやす